漆器用語
普段は聞き慣れない「呂色、生漆、堆朱」って何?
そんな漆器用語の読み方と説明を簡単にしています。
漆の種類
生漆(きうるし)
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- 漆の木から採った樹液に混入しているゴミをろ過して除去したものが「生漆」で、水分を多く含み乾燥が早いために、下地、拭き漆(摺漆)、接着などに使われる。しかし生漆のままでは塗料に適さないために、精製工程を経て精製漆とする。
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精製漆
(せいせいうるし)
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- 生漆を用途に応じて処理加工したもの。補助剤を加えたりして、各種の上塗に適した種類をつくります。精製漆は透漆と黒漆の2種に大別できる。
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透漆(すきうるし)
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- 半透明の精製漆。用途は木地呂塗り、溜塗り、春慶塗り等に使います。
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黒漆(くろうるし)
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- 漆と言えば黒のイメージですが、実は黒漆も精製段階で鉄分と漆の科学反応により作られています。黒漆と言っても様々あり大きく分けてツヤありとツヤ消しがあります。
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彩漆(いろうるし)
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- 朱(赤)、本朱(朱より少し黒っぽい)、洗朱(オレンジ色に近い赤)等ですが、全て顔料を混ぜて作ります。技術の発達により白、緑等の様々な色の漆があり、彩漆にもツヤありとツヤ消しがあります。
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木地(別名素地)の種類
木製(もくせい)
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- 木を挽物(ひきもの)、指物(さしもの)、刳物(くりもの)、曲げ物(まげもの)の4種類の加工方法で作ります。
挽物・・・材料をろくろに取り付けて、回転させながら削ります。
指物・・・板を組み合わせて作るものです。
刳物・・・材料を刃物で刳って作ります。
曲げ物・・・薄い板を曲げて作ります。材料は檜、杉を使います。
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木質(もくしつ)
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- 「もっかん」とも呼ばれ、木粉と樹脂を混ぜて型で固めた物です。素地代が安価になり、木の感触もあります。
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樹脂(じゅし)
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- プラスチックで出来ており、メリットは安さと変形しない事です。
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下地の種類
本堅地(ほんかたじ)
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- 地粉(じのこ)を生漆と混合した物を木地に塗ります。乾いたら、最初より細かい地粉を生漆と混合した物を塗ります。徐々に細かい地粉を塗り重ねて仕上がります。
丈夫な下地技法を商品に「本堅地」と表記する事もあります。
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渋下地(しぶしたじ)
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- 漆に柿渋や松煙、木炭の粉を混ぜた物を木地に塗ります。安価に出来るメリットがあります。
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膠下地(にかわしたじ)
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- 膠の溶液に下地粉を混ぜた物を木地に塗ります。安価に出来るメリットがあります。
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上塗の種類
黒塗
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- 黒漆を塗ります。漆の種類により、ツヤのある呂色に近い光沢がある仕上がりや、ツヤ消しは落ち着いた色合いの仕上がりになります。
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古代朱塗
(こだいしゅぬり)
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- 朱の顔料を混ぜた漆ですが、朱漆よりも色が黒っぽくなり落ち着いた色合いになります。
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銀朱塗(ぎんしゅぬり)
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- 古代朱と同じ様な色合いで、年月をかけて乾いた柔らかい布で毎日拭くと、べっ甲色のような独特の色合いに変わります。
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洗朱塗
(あらいしゅぬり)
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- オレンジ色に近い朱色です。
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黄口塗(きぐち)
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- 洗朱より更にオレンジ色に近い色です。
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溜塗(ためぬり)
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- 中塗に朱漆を塗り、その上に溜漆(黒色)を塗ります。溜漆を通して色が透けて見える特徴があります。しかも月日が経つにつれて、漆が透けてきますので、中塗の朱が徐々に見えるようになります。
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木地呂塗(きじろぬり)
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- 木目を生かすために、下塗・中塗・上塗3回とも透漆を塗り、最後に磨き仕上げをして天然木目が透けて見えるようにする。
木地呂塗と同じ様な塗り方で春慶塗りもあります。
木目が見える塗り方なので、木地には欅、栃、檜などが多く使われます。
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堆朱塗(ついしゅぬり)
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- 数色の漆を何十回も塗り重ねます。(漆が乾いたら塗る、又乾いたら塗るの繰り返しです)塗り重ねが終わってから表面を研ぐとまだら模様が出てきます。研ぎ終わった後は、呂色を行いツヤ出しをします。
今の主流の簡易堆朱塗りは、数色の漆の玉を置き、その上から漆を何回も重ね塗りをした後に、表面を平らになるまで研ぐとまだら模様が出ます。研ぎ終わった後は、呂色を行いツヤを出します。
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呂色塗(ろいろぬり)
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- 上塗の面を水研ぎし、更に植物性の油と砥粉で磨き、呂色漆を塗ります。乾燥後に種子油と磨粉を使い磨きます。
呂色は非常にツヤがあり、表面は鏡のように物を映す事が出来ます。
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摺漆(すりうるし)
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- 生漆をはけ等で塗り、その直後に布で摺り込むように拭き取ります。
漆が乾いたら、漆を塗り布で拭き取ります。この作業を何回か繰り返すと仕上がります。
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カシュ―塗
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- カシューナッツのオイルなどから作られた合成樹脂塗料です。漆より安く漆と違いかぶれる心配はありません。
見た目は漆と非常に似ており見分けが難しいです。
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ウレタン塗
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- 見た目は漆と非常に似ており見分けが難しい化学塗料です。
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加飾
蒔絵(まきえ)
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- 漆で絵図を描き、金粉や色粉を蒔き筆のような道具を使い金粉等を払うと、漆についた部分にだけ金粉等が絵柄となって残ります。
蒔絵には、研出蒔絵(とぎだしまきえ)、平蒔絵(ひらまきえ)、高蒔絵(たかまきえ)等の色々な種類があります。
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沈金(ちんきん)
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- 上塗をした表面に、さまざまな形の沈金刀で絵図を彫り、そのなかに漆を塗り、乾燥するまえに金箔や金紛、色粉を入れます。乾燥後、余分な金粉等を拭きとる。
絵図の彫り方には、面彫り、線彫り、点彫りの技法があります。
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